パーコール法とスイムアップ法

運動精子を収集するという目的のためにとられる方法は、大きく2つに分けることができます。

それは精子の比重によって選別するという方法と、精子サイト来がわ持つ自発的な運動能を利用するという方法です。

まず、比重によって運動精子を収集する方法を「パーコール法」といいます。

そのような呼ばれ方をするのは、パーコールという液体を用いる方法だからです。

精子は、成熟が進むにしたがって比重が増してくるという性質があります。

また、精子が死んでしまうと、細胞膜の透過性が変化し、水分が細胞内に浸透してくるため比重が低下してきます。

パーコールという液体は、成熟した精子や運動精子と未熟な精子のちょうど中間の比重をもつような液体として調整されています。

精液の中にパーコールを加えて遠心分離をすると、成熟した重い精子は下の方に沈んでいますので、これを回収して濃縮洗浄する方法です。

いっぽう、精子自身の運動能による分離法として「スイムアップ法」を例に説明します。

採取された精液が入った試験管にそっとその倍量から3倍量の精液希釈液を加え、遠心分離します。

そして、底に沈んだ精子の塊を回収し、同様の操作をもう一度おこない、精子の塊の上に培養液を加えます。

その試験管を30分から1時間程度静かに置いておくと、運動精子は精液の塊から抜け出して上方にある培養液のなかに泳いで上昇してくるという性質があります。

そしてこの培養液を回収し、その中に含まれている精子を洗浄、濃縮するのがスイムアップ法です。

実際の体外受精の医療現場では,こうした2つの方法を併用したり、さらに医療機関によって独自の方法を加えたりといったバリエーションがあります。

最近まで、パーコールには、精子に対して毒性があるという指摘もあり、日サイト産科婦人科学会では精子の調整にパーコールを使用しないようにと指導していましたが、現在は解除されました。

また,スイムアップ法に比べ、パーコール法のほうがより高い運動能を持った運動精子を得られるという報告もあります。

ベジママを服用後にも続く不妊の因子が女性の側にあり、男性因子が認められないのであれば、精子の調整そのものにそれほど大きな意味があるわけではありません。

男性側に乏精子症や精子無力症などがある場合、それらの程度が重くなればなるほど、精子をどのように調整するかということが重要になります。

顕微授精の場合も、最終的には1個の精子を選別するわけですが、その母集団として運動能の高い精子を数多く集収しておくということはたいせつなことです。